広島県の「熊野」という町は、「書筆」 「画筆」 「化粧筆」 など、それぞれに、製法の異なる沢山の会社がある、歴史のある「筆の町」です。

ちなみに、伝統的工芸品としての「熊野筆」は、この中の「書筆」の一部です。 

そして、 平成16年に、熊野筆事業協同組合は、新しく「熊野筆」という名前で団体商標を取得しました。

こちらの「熊野筆」(団体商標)は、簡単に言えば、 「熊野」という産地内の会社が作る「筆(ブラシ)」という意味です。

竹田ブラシは、組合員であり、「熊野」で化粧ブラシを作っているので、「熊野筆」の業者の一つということになります。

商標取得の 目的としては、細かいルールの多い「伝統的工芸品」の製法を産地内で守りつつ、ルール外の新しい技術をどんどん取り入れながら、

新しい 「ブランド」としての地位確立を目指すものです。

@熊野筆®とは? ※組合については、ホームページ参照

詳しくは、組合ホームページ参照

→熊野筆販売の基本ルール

現在のところ、これらは、まだ、 「品質」を 保証できる段階ではありません(審査等はなし)。
※ 製造法・品質への考え方が各社異なる為、「品質規定」「製造規定」の設定は非常に困難なのです。

そして登録は、基本的には「自己申告性」です。
(現在は、筆組合の専従の方々が忙しい中、書類をチェックしてくださっております)

製造や書類の内容に関する事実確認については、すべて各社のモラルを信頼し、
各社が提出する書類に対する「承認」を 組合が出す形をとっております。
(これだけでも地域産業としては非常に「
進んでいる」というのが今の日本の現状です)

実質的な、経理も含めた専門家による検査機関の設置には、経費面の問題もあり、
町内業者の協力は欠かせず、これからの重要な課題です。

化粧筆に関して

■製法・品質基準は各社各様です

■各会社に筆を供給する共通の「職人」がいるわけでもありません。

■補足

書筆 の一部である 「伝統的工芸品」の指定品には明確な基準があり、伝統工芸士になる為にも試験・審査もあります。

※化粧筆には、この「伝統的工芸品」指定品の「熊野筆」は、 ほとんど関係がありませんので、割愛させていただきます。



A竹田ブラシの熊野筆についての考え(製造面)


熊野化粧筆の会社の中では、  竹田ブラシは、おそらく、一番小さな会社です。

創業は昭和22年1月

そのときから化粧筆だけを 製造しております。     ※ おそらく製品専門メーカーとしては一番古い

その歴史からの観察として・・・・


熊野化粧筆の技術については、


特に、 決められた生産方式は・・・
「ない」と思います。


同じ熊野内でも、 各社、作り方、考え方が違うでしょう。
(当然、「伝統的工芸品」指定の製品ではありません → 弊社を含む化粧筆は全般的に同様)



書筆等の伝統技法と全く関係ないかと問われれば、 語弊があるかもしれませんが・・・・弊社の場合は、少しくらいしかありません。



書(水)と、現代の化粧(油・粉)では 完全に対象物が異なりますよね?

※和化粧は基本的に水化粧です


また、西洋化粧が日本に入ってきてからは、それほど歴史が深くありません。



それが理由なのですが、 弊社の場合は、

熊野内でもかなり早くから西洋化粧(及び、化粧ブラシ)の本場である

ヨーロッパから 技術と知識を取り入れておりますから、

熊野筆の書筆の従来の技術からはかなり離れていると思います。

(熊野内の同業他社の中には竹田ブラシは熊野筆ではないと言う人もいたぐらいです)



では、熊野筆の技術で化粧にとって美味しい部分って何?


という疑問は当然の事。



以下、弊社の考えを記載いたします。


一つ目は「混毛」という考え方。


例えば、毛先の良い「灰リス100%」(毛先が非常に細く長く根元が極端に太い)で

毛先の厚い「丸っこい形のブラシ」



もしくは、「均一な弾力性のあるブラシ」(クセの少ない)


は作る事はできません。


そこで「混毛」です。 これはこれで難しい技術です。

例えば、少し「厚み」のある毛先を持つ「毛」を混ぜる事で 「ブラシの毛先に厚み」が作れます 。

また、化繊維等の 全体的に「弾力性」のある「毛」を混ぜると 「均一に近い弾力性のあるブラシ」も作れます。 


「形状」とか「面を当てる」などを重視するメイクの方にはこちらが、断然、向くようです。

ぴっちりとした形状や面を求める方の場合、一定以上の繊細な「毛先」すら邪魔であるケースもあるようで、
毛先のカットしているかどうかの判別もつきにくいくらい「毛先が少ない」熊野筆を求める方もいらっしゃいます。
(パフやスポンジ、チップなどでのメイクが得意な方が好まれる傾向があるようです)



ただし、実は、この分野には弊社はそれほど重点を置いておりません。


様々な毛が混ざる事による 、毛先のムラや密集度の低下、 それがそのまま粉の伸びを失わせ、粉が流れ易くなったり、

粉ムラを生むケースもあります。また、天然の毛がそれぞれ持つ持ち味がある意味消されます。


弊社は、 「使用感」(まとまりの良さ)や「仕上がりの質感」}(キメ細かさ)

を重視する為(弊社にはそちらを重視するお客様も多いので)、

最低限の部分でしか「混毛」は利用しておりません。

※形の事ばかり言われると苦手なのは、これが理由です。  逆に言えば、「使い方」そのものが全く異なります。

※一方、合成繊維は、歴史が浅く、長期的な使用による肌への悪影響も懸念されており、私自身が過剰な刺激を感じる為、
肌に直接当てるブラシへの使用については、 弊社はまだ踏み切れない状況です。




そして、もう一つの技術。これは熊野筆だけに言えることではありません。


実は、弊社では、最も重要な中心部分を 熊野筆を含めた「日本の技術」から参考にしております。




日本の技術(熊野に限らず書筆全般)には 「命毛」という感性があります。

また、毛の先の先にある 描く際に本当に重要な部分を見て品質を評価する感性もあります。

(光に透かすと消えるくらいの繊細な産毛に近いレベルのものです)



そして、伝統技術は、細かい工夫の繰り返しによる結果としての「理」の宝庫です。

この繊細な感性は弊社も最も重視しており、 製造の根本部分に置いております。



これらはすべて、消費者と製造業者ともに共有していくべきものでもありますので、

是非、お互いに「目を肥やす」事も重要であり、それをしつづけてきたのが日本の製造の文化の素晴らしさでもあります。



結果、書筆の業者や、書家の方々から

「化粧ブラシにはないものと思っていたが、お宅のブラシには毛先がある」  「化粧ブラシで初めて命毛の先があるものを見れました」

等、お褒めの言葉をいただく事も最近は多くなってきましたが、



実は、その部分(繊細さ)とヨーロッパの技術(描き易さ)の 配合の按配が非常に難しく、

まだまだ、わからない事、至らぬ事も多いのも事実です。


途上であり、 手間が掛かかりますが、 少量生産メーカーの利を生かす意味でも、追求する価値は充分あると思います。

 
B竹田ブラシ製品の熊野筆表記


全製品、最終検品・品質チェックは、総て弊社で行っております。

ブラシ類の中で「熊野筆」除外品については 下記に一覧で明示させていただきます。

■熊野筆除外品 [ブラシ類] ※原産国についても表記


これらは、弊社にて最終仕上げと品質管理を行っていますが、 「熊野筆」には、該当しません


@プラスティック軸のNo.SH6サイズの馬毛100%の商品群
穂先製造の一過程[5%程度]を行ったものを中国から購入しております。
穂先の再成形と仕上げは弊社で行っております。
例:No.33SETのアイシャドウブラシ(馬毛100%)が除外品に該当。

※通常の木軸のNo.SH6、No.SH7、No.SH9は、「熊野筆」に該当

Aアイブロウコーム(No.EB/CM)
日本で製造しておりますが、、熊野筆の技術には関係なく、 基本的に量産品の類でもある為、「熊野筆」には該当しません。
B スクリューブラシ(No.MC など)
中国製のスクリュー部品を使用し、日本で製造しておりますが、、熊野筆の技術には関係なく、 基本的に量産品の類でもある為、「熊野筆」には該当しません。
C ウレタンチップ(No.AP など)
日本で製造しておりますが、熊野筆の技術には関係なく、 基本的に量産品の類でもある為、「熊野筆」には該当しません。
D 柘植(大阪の職人の手造り)

大阪の職人による手作り品ですので「熊野筆」には該当しません。